当事務所の委託報酬の目安金額の算定方法・根拠をお示しします。概ね次のようなことになります。「報酬体系」及び「概略目安額一覧」のページと併せてご覧下さい。
当事務所の委託報酬の目安金額は、業務対象・分野ごとの業務行為の種類・内容・難易度・専門性等に応じた一般的定型的な金額(標準的な全業務時間に対応した金額)です。
したがって、個別ケースごとの特殊事情を勘案して減額又は増額することになります。見積金額や契約金額は、依頼者様の依頼内容に関係する状況(業務遂行の前提条件等)をお聞きして決めることになります。必要に応じて見積書を原則として契約書を作成します(ただし、不確定要素の多い場合は、それに対応した条件により、協議の上柔軟な報酬とします。なお、十分協議の上確定した報酬については。突発的な追加事情が発生した場合を除き、原則として追加報酬は発生しません。)
手続報酬(行政機関等手続報酬)、法定帳簿書類作成報酬の金額は、それら業務の前提となる一般的な相談指導を含めて算出されています。それを超える特殊特別な相談指導については別途相談指導報酬を受けることになります。
使用者である企業・団体は、「複雑大規模でない社会保険労務士業務について、月単位の継続的・包括的な業務依頼契約=顧問契約」を結び顧問報酬を支払うことができます。この場合、個別の契約の報酬額よりも割安になります。(なお、事情により、小規模企業等の場合、顧問契約なしで一部の業務を反復継続して受託することもあります。)
金額には消費税は含まれていませんが、別途申し受けます。また、印紙代、公的機関に納付する手数料は含まれておらず、別に受けることになります。
なお、特に緊急を要する依頼については、加算することがあり、災害その他特別の事情がある場合は、協議の上減免することがあります。
最後に、社会保険労務士の受託報酬の性質といわゆる成功報酬について簡単に触れます。
行政機関等の法令に従った判断により決定される手続(なお、社会保険労務士の業務の中にはこれ以外のものもあります。)については、社会保険労務士は、法令の定めた処分等の要件・手続をクリアして請求・申請・届出等を行うものであり、行政機関等提出書類の作成・提出代行(代理)は紛争の解決のためや交渉によって何かを獲得するといった業務ではなく、手続の有効要件具備を前提としたもので部分的な過誤については行政の指示・指導により補正できるものです(ただ、その最終判断が申請者等の考えと異なっている場合は、不服申し立てを行うことになります。)。
ですから、この前提を満たした手続である場合は業務結果の成功不成功のリスクというものはなく、そのような業務については、出来高払いの成功報酬というものはありません。
ただし、特に保険給付、助成金、事業許認可等の申請手続等にみられるように、要件具備について行政機関等の判断が微妙であることがあります――結果として要件不備とされることもある――ので、社労士がその判断の分かれ目を左右できるという面をとらえて、受給できたことに対する報酬を成功報酬と考えることもありえるでしょう。しかし、それはあくまでも結果としてそうなっただけであり、この手続は要件具備を前提とした手続の遂行であって、行政機関等との間の争いを決着させたりそこから受注するためのものではありませんので、勝ち負けや営業受注などによる成功報酬といった意味での成功報酬ではありません。
しかし、これらの業務に伴う要件具備確認・充足は大規模・複雑・高度専門的なものですので、より高額な報酬が発生することがあります。
例えば、複雑な助成金については、手続や要件の複雑さ、要件充足の調査の程度、添付書類等手続書面の調査の程度、その他事案の判断の難しさ(高度専門性)など業務量・質に対応してその報酬の額が決められます。そこで、受給する助成金額で報酬を賄おうという企業等の考え方に対応して、報酬の物差しとして受給金額を用いて、それに対する報酬比率を参考にして報酬を決めるという考え方は一理あると考えられます。
また同様に、保険給付請求については、例えば、障害給付請求や過労死労災請求などのように受給要件の解釈や認定が微妙なケースがあります。すなわち、要件充足に関する調査、添付書類等手続書面の調査その他事案の判断の難しさ(高度専門性)のため業務量増加、その質の高度化に応じた高額な報酬が発生することがあります。その場合、報酬の物差しとして受給金額を用いて、それに対する報酬の比率を参考にして報酬を決めることは、特に、受給する保険金額により報酬を賄おうという受給者の考え方に対応するものとして一理あると思われます。しかし、このような場合に、結果として受給できたことを微妙な認定を勝ち取ったとして成功報酬と位置づけたくなりますが、一般的には困難な手続報酬として位置づけるべきでしょう。ただ、算定方法として便宜上受給額を参考にしているにすぎません。
ただし、請求者の強固な請求意思には妥当性があると考えられるけれども、他方、要件認定に非常な困難が想定される事案に関しては、原処分庁において認定されない可能性の存在を理解してもらったうえでこれを受託する(受託義務あり)ことがあります。このような事案は、次に示すような成功報酬(弁護士報酬にみられるようなもの)になじみやすいと考えられます。このような事案は、不服申立と一体的なところがあります。
社会保険労務士の行う不服申立事務代理、紛争解決手続代理というような業務は、紛争事案に関するものであり、弁護士報酬の考え方を参考にして、着手金と成功報酬である報酬金とを組み合わせて受託することができると考えられます(なお、社会保険労務士は社会保険労務士法に定められた業務についてのみ報酬を受けられるものです。)。