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都道府県「地域別最低賃金」 改定 チェックしておきましょう!! 

  8月下旬に、各都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会が、平成26年度の地域別最低賃金の改定額を答申しましたが、現在、改定額及び発効年月日は下表のとおり、ほぼ答申通り決定されています。(一部家定手続未了ところがありますが、答申額を示しておきます。)

最低賃金の意義

 

 賃金の額の決定を使用者と労働者の自由な取引に委ねたままにしておくと、経済情勢や労働市場の状況によって著しく低額な賃金が広がる場合があります。そして、そのような賃金額は、労働者の生活を困難にし、あわせて経済社会全体に悪影響を及ぼすことになります。

 そこで、国が、労働市場のセーフティーネットとして、賃金の低廉な労働者について最低額を保障することにより、労働能力の向上、事業の公正競争等に資するとともに、国民経済の発展に寄与するために、賃金額の最低限を定め、これを使用者に強制するという制度――最低賃金制度(特に最低賃金審議会に基づく最低賃金の制度)――が作られ存在してきました。 

 【最低賃金違反の効果】

 

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度ですので、仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

【最低賃金の種類】

 

最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。

(1) 地域別最低賃金

 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

 なお、地域別最低賃金は、[1] 労働者の生計費、[2] 労働者の賃金、[3] 通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定めるものとされており、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとされています。

(2) 特定最低賃金

 特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されています。全国で242件(平成25年4月12日現在)の最低賃金が定められています。この242件のうち、241件は各都道府県内の特定の産業について決定されており、1件は全国単位で決められています(全国非金属鉱業最低賃金)。

【最低賃金の適用される労働者の範囲】

 

 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます(パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。)。

 特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます(18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の方、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。)。

 なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

(1) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方

(2) 試の使用期間中の方

(3) 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方

(4) 軽易な業務に従事する方

(5) 断続的労働に従事する方

 なお、最低賃金の減額の特例許可を受けようとする使用者は、最低賃金の減額の特例許可申請書(所定様式)2通を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出してください。

【最低賃金の対象となる賃金】

 

 最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。

 具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)

(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算  額を超える部分(深夜割増賃金など)

(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

【派遣労働者への適用】

  

 派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されます。

 派遣労働者又は派遣元の使用者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

【最低賃金額以上かどうかを確認する方法】

 支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 計算の仕方の例は、厚生労働省のホームページhttp://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm をご覧ください。

 (1) 時間給制の場合

   時間給≧最低賃金額(時間額)

(2) 日給制の場合

   日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

    ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

   日給≧最低賃金額(日額)

(3) 月給制の場合

   月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合

 例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

平成26年度地域別最低賃金改定状況 

平成26年9月17日現在

都道府県名 最低賃金時間額【円】 発効年月日
北海道 748 (734) 平成26年10月8日
青森 《679》 (665)  《県労働局長未決》
岩手 678 (665) 平成26年10月4日
宮城 710 (696) 平成26年10月16日
秋田 679 (665) 平成26年10月5日
山形 680 (665) 平成26年10月17日
福島 689 (675) 平成26年10月4日
茨城 729 (713) 平成26年10月4日
栃木 733 (718) 平成26年10月1日
群馬 721 (707) 平成26年10月5日
埼玉 802 (785) 平成26年10月1日
千葉 798 (777) 平成26年10月1日
東京 888 (869) 平成26年10月1日
神奈川  887 (868) 平成26年10月1日
新潟 715 (701) 平成26年10月4日
富山 728 (712) 平成26年10月1日
石川 718 (704) 平成26年10月5日
福井 716 (701) 平成26年10月4日
山梨 721 (706) 平成26年10月1日
長野 728 (713) 平成26年10月1日
岐阜 738 (724) 平成26年10月1日
静岡 765 (749) 平成26年10月5日
愛知 800 (780) 平成26年10月1日
三重 753 (737) 平成26年10月1日
滋賀 746 (730) 平成26年10月9日
京都 《789》 (773) 《府労働局長未決》
大阪 838 (819) 平成26年10月5日
兵庫 776 (761) 平成26年10月1日
奈良 724 (710) 平成26年10月3日
和歌山 715 (701) 平成26年10月17日
鳥取 677 (664) 平成26年10月8日
島根 679 (664) 平成26年10月5日
岡山 719 (703) 平成26年10月5日
広島 750 (733) 平成26年10月1日
山口 715 (701) 平成26年10月1日
徳島 679 (666) 平成26年10月1日
香川 702 (686) 平成26年10月1日
愛媛 680 (666) 平成26年10月12日
高知 《677》 (664) 《県労働局長未決》
福岡 727 (712) 平成26年10月5日
佐賀 678 (664) 平成26年10月4日
長崎 677 (664) 平成26年10月1日
熊本 677 (664) 平成26年10月1日
大分 677 (664) 平成26年10月4日
宮崎 677 (664) 平成26年10月16日
鹿児島 《678》 (665) 《県労働局長未決》
沖縄 《677》 (664) 《県労働局長未決》
全国加重平均額 《780》 (764)  

※ 括弧書きは、平成25年度地域別最低賃金額

  二重括弧は、都道府県労働局長未決の地方最低賃金審議会答申額

 

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